非常勤講師の会計年度任用職員への任用替え


 地方公務員法・地方自治法等が改正され、2020年4月1日施行日を迎える。各地方自治体は条例制定の作業に入るにあたり、関係労組との交渉に入っている。条例制定のリミットは本年5月あるいは9月議会であるが、妥結した交渉は多くない。

大阪府の団交拒否
 昨年12月18日、大阪府は会計年度任用職員の期末手当、特別休暇、服務基準について組合に提案を行った。しかし、非常勤職員を会計年度任用職員に任用根拠を変更(任用替え)することについては、交渉事項でないとして団交事項としなかった。
 地公法改正等に伴って、非常勤職員を2020年4月以降現在のまま地公法3条3項3号の特別職にとどめるのか、地公法17条で任用するのか、地公法22条の2で会計年度任用職員とするのかは各地方自治体が決めなければならなくなった。そこで、大阪市をはじめとする地方自治体が「非常勤職員を会計年度任用職員とする」ことを決定して、組合に提案してきた。しかし、大阪府は「非常勤職員については会計年度任用職員制度へ移行する」と表現して、大阪府が任用替えを決めたとは言わず、従って組合に提案するものではないとしたのである。
 地公法改正を所管する総務省ですら、「任用根拠の変更後の勤務条件については、改正法施行後に適用されるものではありますが、各地方公共団体においては、特別職非常勤職員やこれらの職員が組織し、又は加入する労働組合に対し、丁寧に説明することが重要です。」(マニュアル第2版)と注意にしているにもかかわらず、大阪府は団交拒否を貫いている。
 これに対し、筆者が加入する大阪教育合同労働組合は団交拒否は不当労働行為であるとして、2月8日大阪府労働委員会に救済申立を行った。

総務省の二枚舌
 総務省は、今回の法改正の趣旨は非常勤職員の待遇改善にあると説明する。非常勤職員にも期末手当を支給することを可能としたと胸を張る(支給するものであると国会答弁)。
 しかし総務省が出したマニュアル第2版では、週15時間30分未満の勤務者については期末手当を支給しない制度もあるとして、その根拠として①国の再任用短時間勤務職員(勤務時間週15時間30分以上フルタイム未満)に期末手当が支給されている ②国の各府省等の申し合わせ(国家公務員の非常勤職員の給与に係る当面の取扱いについて)で「平均週2日未満相当の非常勤職員は期末手当支給対象から除く」とされているからという。
 そもそも今回の地方公務員法・地方自治法改正は「会計年度任用職員で勤務時間が常時勤務職員の勤務時間に比べて短いものに、期末手当を支給を可能とする」ためであった(法律概要)。週15時間30分以上勤務者という要件は国会で議論されなかった。そして、総務省が根拠とする①国の再任用短時間勤務職員には週15時間30分未満勤務者は存在しない ②「申し合わせ」では「平均週2日未満」が対象外となっているが、週2日未満とは週1日のことであり、週15時間30分以上などという概念は登場しない。つまり、総務省は法改正の趣旨を無視し、国の制度を誤用して期末手当支給の道を閉ざそうとしているのである。総務省マニュアルをもとに、地方自治体は週15時間30分未満勤務者には期末手当を支給しないとすることは脱法行為である。

東京都は勤務時間を支給要件とせず
 こうした中、東京都は期末手当支給要件として週15時間30分以上を提案していたが、2018年秋の組合交渉の結果、この要件を取り下げた。まさに法改正の趣旨に沿った制度設計である。他の地方自治体も東京都を倣うべきである。

非常勤講師等の団交は継続
 会計年度任用職員への任用替えにあたり、非常勤講師の勤務時間確定は困難な課題である。とりわけ始業時刻・終業時刻の明示が要請されているが、授業時間を勤務時間としているような自治体・学校は法改正についていけない状況にある。早急に組合との交渉で詰めていくことが求められている。
 
 本ブログは会計年度任用職員制度について可能な限りフォローしていく。

参考資料

総務省マニュアル2 
http://www.soumu.go.jp/main_content/000579717.pdf