「労働、賃金そして労働組合」2021

 大阪市立大学・人権問題研究センター「労働と人権」講座で、今年も筆者は一コマ授業を行った。2022年度、大阪市大が大阪府大と合併して新大学となることもあり、筆者の授業は今年で最後となった。そのこともあり、今年のテーマも「労働、賃金そして労働組合」としたが、内容は少々刺激的にした。

 刺激的内容の一つは、労働組合についてあまり良い印象が持たれていない、また若者の生活圏外のものとなっている、その原因の一つに高校までの学習内容に問題があると指摘したことである。何社かの高校教科書「政治・経済」における労働あるいは労働組合についての説明が間違っていること、史実と異なる記述が行われていることを示した。

 二つには、現実に起きている労働争議についての解決策を課題として提出したことである。固定残業代未払について、支払は可能か不可能か、その根拠も含めて解答を求めた。受講生たちは、真剣に課題に向き合い、出題者の想定を超える論理的な解答が出てきた。

 ある学生からは、筆者が持論としている「労働力レンタカー理論」に関連して、労働力商品について率直な意見が出された。それは次のような意見であった。
 「労働力は商品」という言い方にあまり良いイメージがなかった。講義を受講して、労働力を商品と捉えることは、決して労働者の立場を弱くする考え方ではない、ということに気づいた。

 今年もコロナ感染防止のためビデオ録画による遠隔授業であった。課題は授業レジュメの最後のページで提出しているので、このブログ読者も解答していただきたい。

「労働、賃金そして労働組合」2021

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