プッチダモンがカタルーニャ帰還へ-逮捕のリスク

 3月21日、北カタルーニャElna(フランス)で開かれた集会にプッチダモンが登場した。プッチダモンは、1400人の聴衆を前に、きたる5月12日に投開票が行われるカタルーニャ選挙の立候補者名簿に名を連ねることを表明した。同時期に行われる欧州議会議員選挙には出馬しないこともあわせて表明した。
 スペイン裁判所は、欧州逮捕状をもってEU諸国に逮捕・引き渡しを求めているが、これに応じる国はない。しかし、スペイン国内に足を入れれば逮捕は免れない。それでも、プッチダモンは選挙後に行われる大統領選出議会に出席するためにカタルーニャに戻るとしている。

  恩赦法と帰還時期
 この時期にカタルーニャ帰還を表明したのは、スペイン国会において恩赦法が制定される見通しがある。恩赦法は、Juntsがサンチェス政権樹立に賛同する引き換えに求めたものであり、2012年当時からの訴追案件を帳消しにするものである。当然、2017年の独立住民投票に関する訴追も含まれ、プッチダモンら亡命者への逮捕状も失効する。
 その恩赦法は3月14日に下院を通過し、19日に上院に送られた。上院はPP(国民党)ら保守派が多数を占めており、恩赦法は否決されることは間違いない。しかし、スペイン国会は、下院で再可決することで法律が制定される仕組みとなっており、上院の審議期間は2か月と制限されているため、5月下旬には恩赦法は成立する見込みである。
 そこで、プッチダモンは5月12日投票の選挙であっても大統領選出議会が5月下旬になるから、これに出席できだろうと考えている。

 カタルーニャ選挙への布石
 Elnaで開かれた集会には、プッチダモンが所属するJunts委員長を始めとした幹部、各種議員も出席していた。その場において、プッチダモンは、5月12日カタルーニャ選挙に当たってはJuntsとERCの統一名簿をめざすことを表明した。2017独立住民投票に対する弾圧による投獄・亡命によって、このところ独立派の分岐が見られており、これを再統一するねらいがある。当然ながら統一名簿反対の動きも想定されるが、プッチダモンはJuntsとERCを超える統一が不可欠と訴えた。
 また、カタルーニャ政府幹部が投獄・亡命したのは、独立をめざした主権を守るためだったと強調。6年半にわたり彼らを後退させる試み、逮捕・引き渡しの試み、減刑との引き換えによる個人的利益誘導の試みは失敗したとも述べた。

 保守政党の恩赦法反対運動
 恩赦法にはPPなど保守政党はもちろんのこと、スペイン最高裁、司法審議会CGPJもカタルーニャ独立運動を救済することは憲法が定めた平等原則、三権分立に反しており、違憲であるとの見解をとっている。この見解に賛同する裁判官たちが社労党本部前で抗議のデモを行っている。

参考資料

https://www.elnacional.cat/en/politics/puigdemont-elna-catalonia-candidate-junts-president_1182831_102.html?utm_source=Newsletter+ENGLISH&utm_campaign=11fb92a144-EMAIL_CAMPAIGN_2018_05_23_COPY_01&utm_medium=email&utm_term=0_a9bc005625-11fb92a144-293793389
https://www.euronews.com/2024/03/21/carles-puigdemont-plans-to-run-for-catalan-presidency-7-years-after-fleeing-spain
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