カタルーニャ政府ようやく組閣へ―選挙から3か月
2月14日のカタルーニャ選挙において独立派3政党は52%を超える得票を得た。しかし選挙から3か月がすぎ、議会議長等は選出されたものの、政府は組閣されないままであった。その原因は、ERCとJuntsとの間にある「軋轢」と言われる。独立住民投票について、スペイン政府との同意をめざしてサンチェス政府と「妥協」をもいとわないERCと、一方的にも実施すべきとJuntsとの路線の違いが存在する。ERCは、Juntsがプッチダモンら亡命組が組織しているカタルーニャ共和政協議会の決定に従っていることを問題視している。
5月20日までに新政府が樹立されないと5月26日をもって議会は解散され再選挙となるルールである。こうした状況に対して、獄中政治犯たちを交えた協議が行われ、ANCやÒmnium などの市民団体は早急に新政府をつくるように要請し、16日にはデモも行われた。
そこでERCとJuntsは精力的に協議を行い、5月17日ようやく連立政府をつくることで合意に達したと記者発表した。ERCのアラゴネスが大統領(首相)となり、14の閣僚を半数ずつ割り当てるものである。独立派のCUPは閣外協力することとなった。
マドリッド自治州選挙でPPが圧勝
5月4日、マドリッド州議会選挙が行われ、国民党PPが圧勝した。極右政党VOXを含めるとて絶対多数の議席を確保した。この選挙には、ポデモス投手のパブロ・イグレシアスがスペイン副首相を辞任して州政府首相に立候補した。しかし、惨敗となりイグレシアスは政界を引退すると表明した。選挙では、ポデモスから分裂したマース・マドリッドが健闘して獲得議席はポデモス以上となった。
スコットランドで独立住民投票派が過半数
5月6日、スコットランド議会選挙が行われ、SNP(スコットランド国民党)が129議席中64議席を確保して、引き続き第一党となった。また、8議席を有する緑の党の賛成を得て、独立住民投票を行うことを表明した。
2014年に行われた住民投票では独立賛成が44%であった。10年をおかずに再度住民投票を行うのは、イギリスがEUから離脱したため、スコットランドではEU残留を希望する住民が多数であるという事情がある。今後、住民投票実施についてイギリス政府との合意ができるかが注目される。スコットランド独立は、カタルーニャ独立に大きく影響することは間違いない。
欧州司法裁判所が注目の判断
5月8日、欧州司法裁判所は、EU加盟国で最終審裁判が行われた事案を加盟他国で繰り返すことはできない旨の判決を言い渡した。汚職事件で刑の執行を受けたドイツ人をアメリカ政府が引き渡しを求めたことに対する判決であった。
プッチダモンらカタルーニャ亡命組の逮捕・引き渡しを求めたスペイン(最高裁)の訴えをドイツとベルギー裁判所が棄却していることから、この欧州司法裁判所判決は、スペイン政府による欧州逮捕状あるいは身柄引き渡し要求を退ける前例となるであろう。
参考資料