スペイン中央選管がトーラ首相の議員資格はく奪
2020年が明けた。
年末には欧州司法裁判所がジュンケラス政治犯、プッチダモン亡命首相の欧州議会議員資格を認めたにもかかわらず、1月3日スペイン中央選管はジュンケラス政治犯は有罪判決が確定したので欧州議会議員でないと決定した。そしてERCから繰り上げ当選者名を発表した。
また同日、トーラ・カタルーニャ首相が前回国会選挙期間中に州政府建物に政治犯釈放を求める横断幕を掲示したことが、中央選管命令不服従であるとして、カタルーニャ議会議員資格をはく奪した。資格はく奪は、首相としての地位からの追放をも意味している。
中央選管という国家機関に一つがこのような決定を下したことは、スペイン国家によるカタルーニャ支配統制の強化である。ANCなどカタルーニャ住民は抗議行動に打って出た。
カタルーニャ議会は、中央選管の決定は民主的選挙によって選出された議員および首相を解任するものであり、権限逸脱あるいはクーデターであると批判する決議を行った。決議は独立派による多数で可決されたが、ポデモス、社労党も独自の決議案を提案して、独立派決議案をバックアップした。
スペイン首班指名投票の混乱
サンチェス社労党が第1党となっているスペイン下院では、首班指名投票のための多数派工作が行われている。350議席の絶対多数のためには176票が必要なところ、連立政権対象のポデモスをあわせて計166票に達しただけであり(反対は165票)、1月5日の投票では絶対多数に達しなかった。そこで第2回投票が7日に行われることとなったが、この場合は、最大得票者が首相に選出されることとなる。
サンチェス率いる社労党はカタルーニャ独立政党の一つであるERCに働きかけてカタルーニャ問題解決のための協議テーブルを用意するとして、首班指名への協力を取り付けた。ERCとバスク地域政党の計18票が棄権に回ることにより、サンチェス候補は賛成167、反対165、棄権18で首相に当選することができる。しかし、中央選管の決定や、カタルーニャ協議テーブルが政府間で確認されていないことなどから、ERC内にも微妙な空気が生まれており、ふたを開けてみないとわからない。
プッチダモンらを逮捕できず
1月2日、ベルギー裁判所がプッチダモンらの欧州逮捕状の執行を停止した。欧州司法裁判所がプッチダモンらを欧州議会議員として認定したことから、不逮捕特権があるという理由。スペイン最高裁が請求した逮捕状はベルギーでは執行されないことになった。
参考資料