インターリージョナル―国家を超えた地域のつながり
11月22日、スペイン政府は、カタルーニャ政府とフェロー諸島政府が締結したデジタル化に関する合意を認めず、裁判所に提訴すると発表した。国家を超えて、地域(リージョン)が相互に連携し合うことについて、国家主権を脅かすものとして強く反対している。Internationalがinterregionalに優先するというわけだ。
フェロー諸島はデンマークにある自治領であり、ヨーロッパにおいてデジタル化が最も進んでいるところの一つである。スペイン政府の発表について、フェロー諸島デジタル担当相はスペイン裁判所の決定如何員かかわらず、カタルーニャとの連携を強めていくと表明した
アルゼンチン、メキシコ、チュニジアのカタルーニャ公館を禁止
11月27日、カタルーニャ高等司法裁裁判所は、スペイン政府が申し立てていた、カタルーニャのアルゼンチン、メキシコ、チュニジアのカタルーニャ公館開設の布告を暫定的に凍結する決定をおこなった。国家権限を脅かすというのが理由である。カタルーニャの海外公館は15か所増加して39国に及んでいる。
欧州議会、欧州委員会が動くか
11月26日、欧州議会市民自由委はスペイン極右政党Voxから提案された「CDRをテロ組織として認定する」事案を取り上げないことを決定した。取り上げることに反対53、賛成6、棄権3であった。
11月27日、欧州議会はEC(欧州委員会)新委員長にライエンを選出した。28日には欧州理事会の承認を得て、12月1日から新体制が発足する。ライエン新委員長に対して、カタルーニャ問題解決のために仲介するよう求める要請書が超党派の欧州議会議員から提出された。
欧州司法裁判所、欧州人権裁判所に提訴されている政治犯釈放あるいは欧州議員地位確認などの事案についての判断が遅くないうちに出される。ECはこれらの判断を受けて動き出すと考えられている。
カタルーニャはピレネー山脈を越えて大きな支持を得ている。
スペイン政府、組閣について独立派に秋波
本ブログ(11/11)でも11月10日のスペイン総選挙の結果、過半数に達する政党がなく、連立政権が模索されていると伝えた。ペドロ・サンチェス現首相率いる社労党はポデモスとの連立構想に合意したが、それでも過半数に達していない。そこで、各地の独立政党に支持・連携を呼びかけている。
カタルーニャ独立政党であるERCは下院に13の議席を持つことから連携を求められたが、カタルーニャ問題の政治解決テーブルにつくことなどを条件にして協議を始めた。また、ERC党員による投票が行われ、社労党が条件をのまない限りサンチェス首班指名に賛成しないこととなった。
その社労党カタルーニャ支部に当たるPSCはスペイン連邦国家構想を提唱した。カタルーニャの独立には反対し、スペイン多民族国家の一つとしてカタルーニャを位置付ける構想である。しかし同時に、カタルーニャ語による教育には反対するという矛盾した対応を行っている。
参考資料