カタルーニャ政治犯に13年～９年の懲役刑

10月14日、スペイン最高裁はカタルーニャ政治犯９名に各13年～９年の懲役刑を言い渡した。保釈中の３人には６万ユーロの罰金刑を科した。判決は政治犯が収容されている刑務所で手渡されたが、すでに早朝からテレビで報道され、前週末にはリークされた判決内容が報道されていた。
判決内容の概要は次の通り。
暴力はあったが反逆罪を成立させるほどではなかった。反逆のために、暴力が直接事前に指示され、暴力を手段として最後まで続ける動機付けがないことには反逆罪は適用されない。しかし、法や裁判所命令に従わずに民衆に騒動をあおったことは扇動罪である。また議会で議論させた議長は扇動罪、住人投票を扇動するために公金を使用した閣僚は公金不正使用罪となる。政治的、個人的、集団的に独立を支持することは犯罪ではないが、民衆に騒動をたきつけたことは扇動罪である。

「国家の報復」
最高裁判決はカタルーニャ独立運動を批判して、国家の地域に対する優越性を防衛する観点を明確にした。
＜憲法制度を存立させるスペイン領土を守るためということは言い過ぎではない＞　＜欧州各国の憲法は各国が基礎を置く領土の威厳を保ち高める規則を含んでいる＞　＜決定権を成文化した国際法はない＞などである。また、被告たちは独立のために住民投票をすることが法的に不可能であることを知っていたはずと揶揄した。
９人の政治犯は共同声明を行い、判決は国からの報復であり懲罰である、街頭に出て抗議しよう、ただし非暴力で、と訴えた。また政治犯は個別に見解を発表し、「判決は事実に対してではなく考えに対して行われた」「21世紀の欧州で民主主義を最も実践した250万人の投票者への判決である」と批判した。

亡命政治犯に欧州逮捕状
判決を受けて、最高裁はプッチダモンたち亡命政治犯に扇動罪・公金不正使用で欧州逮捕状を再び発行した。前回逮捕状についてはドイツ裁判所が、反逆罪・公金不正使用の根拠が明らかにされていないという理由で執行を停止したことがあったことをうけてのことである。
スペイン最高裁は、亡命者が欧州以外に逃げる可能性があることから、国際指名手配をも考えている。

抗議行動が広がるも、スペイン政府は判決支持表明

カタルーニャ各地で抗議行動がはじまった。バルセロナ空港では抗議する民衆にスペイン警察がゴム弾を発射した。サッカーチームＦＣバルセロナは「刑務所は解決策でない」と判決を批判する声明を出した。
トーラ（カタルーニャ）首相は危機を避けるために、サンチェス（スペイン）首相との対話を求めた。これに対して、サンチェス首相「判決は立派である、誰も法の上には立てない、法に従うことだ」「共存の新時代が始まった」としてカタルーニャの自治剥奪をにおわせた。

地域の国からの離脱・独立－カタルーニャ、香港・・沖縄
民意の発動は、国家からの独立へと向かう。これが21世紀における民主主義の実践であろう。19世紀から20世紀前半には、民族あるいは植民地が帝国主義国から独立した。20世紀終わりにはソ連邦から構成各国が独立した。そして21世紀は国の性格を問わず、それから地域が独立する時代であることが現象化してきている。
社会主義者であるサンチェス（スペイン）首相をはじめＥＵあるいは各国指導者は「国家ファースト」の立場にあり、結果として民意を切り捨てる。

あらためて亡命首相であるプッチダモンの2018年11月８日の言葉を思い出そう。
We made the Catalan revolution compatible with the modern world. It’s not the child of the last century’s nationalism.（われわれは現代世界にふさわしいカタルーニャ革命を起こした。それは前世紀ナショナリズムの申し子ではない。）

参考資料