プッチダモンら逮捕の危険性-欧州法廷が議員免責を否定
7月5日、欧州司法裁判所第一法廷(EGC)は、プッチダモンら3人のカタルーニャ選出欧州議員の議員免責を否定する判決を行った。この事件は、2021年3月欧州議会がスペイン選出右派議員らによって構成される委員会から提案された同人たちに議員免責不承認を採択したことに対して、同人らが同年6月に取消訴訟を提起していたものである。同法廷は判決において、議員免責(不逮捕特権)を否定することとなった出来事は3人が議員になる前(2017年10月1日独立住民投票)であること、この決定は他の欧州議員にも波及すること、また欧州議会委員会委員長が保守系議員であったことは委員会の中立性を損なうものでないことを強調した。欧州議会はスペイン司法行為の合法性はスペインが判断するものであり、欧州議会はその評価を行うことはできないことも付け加えた。
プッチダモンらは、判決は政治的反対意見への脅威であるとして、ただちに上級審である欧州司法裁判所に上訴した。
第一法廷の判決により、プッチダモンらはスペイン国外においても逮捕・送還される危険性が出てきたが、これまでベルギー、ドイツ、イタリアの裁判所は逮捕・送還を拒否しており、今後の対応が注目される。
スペイン政府は出廷と恩赦を提案
欧州第一法廷の判決を受けて、スペイン政府与党社労党は、亡命からの帰国と裁判所への出廷を受け入れれば他の政治犯と同様の恩赦を与えるとの裏取引を提案しようとしたが、プッチダモンは、そのような「ハッピーエンド」で紛争が解決するものではないと拒絶したことを明らかにした。
スペイン総選挙とカタルーニャ政策
スペインでは5月の地方自治体選挙において与党社会党・ポデモスが後退したため、サンチェス政権は解散総選挙に打って出た。7月21日投票に向けて各党は選挙政策を発表したが、社労党はカタルーニャ紛争はもう終焉しているため特別な政策は不要との立場を明らかにした。またポデモス系は、カタルーニャはスペインの一部であり、住民投票も行わないとの立場を鮮明にした。
こうしたなか、カタルーニャ独立運動内部において、独立派政党が独立に向けたプロセスなど旗幟を鮮明にしないことを批判して、総選挙ボイコットの動きがある。
参考資料