国連、スペインによるプッチダモン亡命大統領への政治的権利侵害を非難

 国連自由権規約人権委員会は5月15日付けでスペインによる政治的権利侵害を非難する決議を行った。
 スペイン政府は、2017年10月の独立住民投票を行ったカタルーニャ政府を解散して、同12月に選挙を実行した。投獄を避けるためにベルギーに亡命したプッチダモンら閣僚は同選挙に立候補して当選した。しかし、スペインは選挙で第1党党首となったプッチダモンを反逆罪で訴追することで、議員資格を剥奪し、2018年のカタルーニャ大統領に就任する権利を奪った。
 国連人権委員会は、このスペインの行為が市民的及び政治的権利に関する国際規約25条に違反すると認定した。そして、今後このようなことを繰り返さないための措置および国連委員会決議を180日以内に公表することをスペイン政府に求めた。他方、プッチダモンへの権利侵害は国連委員会決議が公表されることで回復されるとした。またプッチダモンがカタルーニャに帰還すれば投獄されることは明らかだったために、議会がリモートによる大統領就任という解決策を見つけたことを理解しながらも、リモート就任を認めないスペインの姿勢を批判しないものであった。

 スペイン、国連決議を曲解

 スペイン政府副首相は、国連委員会決議は「プッチダモンの帰国と裁判所への出廷をもとめるもの」と解釈するとの立場を明らかにした。また、カタルーニャは2017年と違って、調和がとれているとも発言している。
 プッチダモンは自由にカタルーニャに帰れないことは、彼の権利は侵害されたままであると警告している。

    国連委員会決議

     

     欧州人権裁判所も政治的権利侵害で審査開始

 プッチダモンとともに独立住民投票を実行した議員と市民運動家が裁判を経ずに投獄されたことから、大統領選出に立候補できなかったため、政治的権利が侵害されたと訴えた。このほど欧州人権裁判所は訴えを受けいれ、スペインに対して反論を行うように通知した。
 EU執行部はスペイン政府に寛容であるが、欧州司法裁判所や欧州人権裁判所は市民的権利・政治的権利の侵害に対して法の支配を貫こうとしている。

参考資料

https://www.elnacional.cat/en/politics/united-nations-condemns-spain-breaching-rights-catalan-puigdemont_1028091_102.html
https://www.elnacional.cat/en/politics/spanish-government-un-human-rights-puigdemont-return-trial_1029030_102.html
https://www.elnacional.cat/en/politics/cases-jordi-turull-jordi-sanchez-spain-human-rights-court_1031202_102.html?utm_source=Newsletter+ENGLISH&utm_campaign=cbdb8056b5-EMAIL_CAMPAIGN_2018_05_23_COPY_01&utm_medium=email&utm_term=0_a9bc005625-cbdb8056b5-293793389
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