イギリス最高裁 スコットランド独立住民投票に足かせ
11月23日、イギリス最高裁はスコットランドが来年10月に予定している独立住民投票について、イギリスの同意がなければ憲法に違反するとの判決を下した。スコットランド政府が住民投票法案を議会に上程することから、イギリス最高裁の判断が求められた。
2014年に行われた独立住民投票はイギリス政府の同意があったため憲法問題は起きなかった。そして住民投票で独立賛成は過半数に達しなかったが、その後イギリスのEU離脱(2020年末完了)によって、EU残留を希望するスコットランドのイギリスからの独立が現実味を帯びてきた。そこで、イギリスの同意がない一方的住民投票が憲法に違反しないかが問われた。イギリス最高裁は、例え住民投票が拘束力を持たないものであったとしても、投票結果がイギリスの政治的権限を終わらせることにつながること、またスコットランド議会が所有していない権限を行使することになり、イギリスからの権限譲渡を制定した1998年のスコットランド法にも違反することから憲法違反と判断した。
スコットランド首相はプランBを提唱
イギリス最高裁判決を受けて、スタージョン(スコットランド)首相は、プランBに言及した。イギリス政権与党の保守党だけでなく、野党労働党もスコットランドの独立に反対しているため、イギリスの同意は困難と判断し、2025年に予定されている総選挙において独立を争点に戦うというのがプランBである。スタージョン首相は、総選挙を実質上の独立住民投票にするということで、2023年住民投票にイギリス政府からの同意を引き出す戦術だとも言われている。ただし、総選挙を独立住民投票に見なすことについては、スコットランド国民党内でも異論がある。
国家からの地域の独立には、左派・右派を問わず国家指導者たちは反対することがスコットランドでも明らかになっている。スコットランドがカタルーニャと同様に、住民投票に踏み切れるか、来年秋が注目される。
スペインの扇動罪廃止はプッチダモン逮捕が目的か
11月11日、スペイン政府は「扇動罪」を廃止して「公共秩序悪化罪」とする刑法改正案を発表した。スペイン「扇動罪」は準反逆罪を意味しており、EU諸国には存在しない。そこで、EU諸国裁判所は扇動罪違反による「欧州逮捕状」は無効であるから、プッチダモンら亡命政治家のスペイン送還は不可能との判断を下していた。
扇動罪廃止は当然であるものの、新設された「公共秩序悪化罪」が遡及適用されると、プッチダモンら亡命政治家に出される「欧州逮捕状」は効力を有する可能性が出てきた。
スペイン政権与党の社労党幹部は「刑法改正はプッチダモンを逮捕する目的がある」と言明した。
参考資料