王政か共和政か―スペイン前国王の汚職事件と亡命で波乱
フアン・カルロス1世前国王が、サウジアラビアでの高速鉄道建設計画を巡り裏金を受け取った疑惑が浮上し、スペインとスイス当局が捜査に乗り出している。スイス銀行でマネーロンダリングが行われていることも容疑になっている。
7月30日、前国王は息子であるフェリペ6世現国王に、私的な問題が起きたからスペインを離れると手紙を届けて、行方不明となった。亡命先として、ポルトガル、アブダビ、ドミニカ共和国、ニュージーランドなどが取りざたされている。
このスペイン王政の汚職スキャンダル・亡命劇に対して、サンチェス政権は関与しない方針である。社労党・ポデモス連立政権はスペイン王政を支持する立場を明らかにした。
カタルーニャ議会が決議
8月7日、カタルーニャ議会は多数派(独立派)の提案する「カタルーニャは共和政であり、国王は必要ない」との決議を採択した。しかし、議会公報担当者が決議文は憲法違反の疑いがあるとして一部を削除しようとしたが、議会議長は「議会には主権がある」として全文採択を行った。削除が要請された部分は「改正不可能とした1987年憲法はまちがい」「カタルーニャ市民の意思は2017/10/1、10/10、10/27で示され、カタルーニャが共和政になることで王政は廃止できる。独立への道を突き進もう」などである。
8月12日、議会法務官が議会決議は憲法裁判所の判断に反するとの理由で一部削除の上で公報に掲載した。削除部分は、「カタルーニャは共和政であり、国王は必要ない」「ブルボン家は犯罪王政」である。これに対して、議会多数派は議会法務長の罷免を要求した。
コロナ危機で後退するスペイン経済
7月31日、スペインの2020年第2四半期経済指標が発表され、前期に比較して18%減少となった。欧州回復基金のうち1400億ユーロがスペインに割り当てられているが中央政府が独占的に使うとしている。カタルーニャ政府は労使合意で作成された経済活動再開計画のために300億ユーロを要求しているが、無視されている。
参考資料