イギリス総選挙-EU離脱とイギリス離脱
12月12日のイギリス総選挙で圧勝したジョンソン首相はEU離脱にむけた日程を具体化しはじめた。他方、足元ではイギリスからの離脱が現実味を帯びてきた。
スコットランド選挙区では、SNP(スコットランド国民党)が59議席のうち48議席を獲得した。前回に比べて13議席増である。この結果を受けて、スタージョンSNP党首は「その意思に反してスコットランドをイギリス連邦にひきとどめるのはできない」と2回目の住民投票の準備に入ることを表明した。ジョンソンが選挙期間中にスコットランド独立をけん制していたことに対する意思表明である。
また、北アイルランドではシンフェイン党が9議席獲得し、多数派となった。シンフェイン党は1921年に分裂したアイルランドの統一を掲げている。
スコットランド、アイルランドともEUに残る(加盟する)道を訴えた政党が多数となったのである。イギリスがEUを離脱すると、これらの地域がイギリスから離脱する動きが加速される。
インターリージョナルとEU
EU加盟国であるイギリスの離脱は、EU新規加盟についての問題を浮上させている。
11月30日、トーラ・カタルーニャ首相とヤンボン・フランダース(ベルギー)首相はEU内に民主的に誕生した国を受け入れる手続・制度をつくることをEUに申し入れた。
12月4日、ボレロ・カタルーニャ外相はEU加盟国内に民主的手続で誕生した「国」をそのままメンバーとする手続・制度をつくることをEU本部に申し入れた。住民により近く、分権化したヨーロッパでヨーロッパ精神を持つカタルーニャ社会をめざすとしている。
EUにおいては、欧州議会議員選挙に当選したもののスペイン政府の妨害によって議員資格が与えられないカタルーニャ政治犯の政治的権利について欧州司法裁判所が12月19日に判決を行う。欧州議会はこの判決に基づいて対応することが求められ、カタルーニャ独立運動に大きな変化がおきることが予想される。
参考資料