二つの3・16-カタルーニャと沖縄
3月16日、スペイン首都マドリードで「自己決定は犯罪ではない」「カタルーニャ政治犯釈放」を掲げたデモが行われた。ANCなど独立市民運動団体がよびかけ、主催者発表で120,000人が参加した。
カタルーニャ独立運動がスペイン首都マドリードでデモを行うのは初めてのことだった。
カタルーニャからは390台、その他の地域から100台超のバスがマドリードに向かった。高速鉄道は満席となり、飛行機、自家用車で向かった人々もいた。
集会には、カタルーニャの旗(エストラーデ)だけでなく、バスク、ガルシア、カナリー諸島、アンダルシアの旗も林立した。トーラ首相他全閣僚、議会議長、前首相、ポデモス、そしてマドリードに拠点を置く市民グループも参加した。
警察発表は18,000人としているが、チャーターバス520台だけで約25,000人となることからその信ぴょう性が疑われる。
この首都におけるデモに対して、サンチェス首相は「社労党政権のもとではカタルーニャ独立はない」と答え、来る総選挙で多数を獲得すると対応した。しかし、海外メディアは「カタルーニャは1年以内に2回も政府を辞任させた。サンチェスもカタルーニャ独立派からの応援なしに組閣できないだろう」と分析している
沖縄県民大会に一万人参加
同じ3月16日、沖縄県民大会がオール沖縄会議主催で開かれ、那覇市新都心公園に10,000人が集まった。辺野古県民投票で7割が埋め立て反対に投票したにもかかわらず、日本政府が工事を中止しないことに抗議するためであった。
この県民大会について、地元新聞は次のような社説を掲載した。
「玉城デニー知事は日米両政府に県を加えた3者協議の設置を求めている。政府は否定的だが、それすらできないようなら安倍政権は現状打開の当事者能力を欠いている。主権者が打開する以外にない。」(沖縄タイムス3/17)
「埋め立てを即刻中止すべきだ。沖縄は植民地ではない。」(琉球新報3/17)
社説は、沖縄は(日米の)軍事植民地として扱われており、これは主権者が打開するしかない、と主張する。しかし、この主権者が何を意味するのか不明である。
県民投票以降、「次は本土が考える番だ」との声が高まっている。はたしてそうだろうか。筆者は次の見解を持っている。
1 県民投票の評価 ・辺野古新基地建設のための埋め立てについての民意が示される ・沖縄住民の自己決定である ・自己決定権の根拠-「すべての人民は、自決の権利を有する」(国際人権規約社会権規約・自由権規約 第1条)。主体は人民(people)であり、民族(nation or race)ではない。 2 県民投票(自己決定)の実現 ・自己決定の目的―辺野古新基地建設埋め立て反対 ・自己決定した目的の実現方法 実現の主体は第一義的に県民投票実行主体である沖縄政府(県知事) 法内手段 法外手段 3 自己決定実現の困難性 ・自己決定=辺野古埋め立て反対である。それは国家主権の否定でもある(軍事・安全保障は国家主権である) ・カタルーニャ独立はスペイン国民国家の分割であり、国家主権の否定である ・国家主権の否定は国家存亡にかかわることゆえに国家は必死に抑え込みにかかる ・日本国家主権との対決であるとの認識が重要 4 本土(日本)に委ねない ・本土(日本国民)は沖縄基地現状維持である ・せっかく自己決定までこぎつけたのに、その先を本土(日本国民)に委ねるべきでない ・自己決定を無効化させない |
参考資料