辺野古に土砂投入-民意無視にどう向き合う
12月14日、日本政府は米軍新基地建設を既成事実とするために、沖縄・辺野古沿岸部に土砂投入をはじめた。10月の知事選で辺野古新基地建設反対を訴えた玉城デニー候補が当選して、沖縄の民意が示されたにもかかわらずである。辺野古新基地が普天間基地(宜野湾市)機能の移設でないことは誰もが知っていることであるが、安倍政権は普天間の代替であるとのプロパガンダに明け暮れている。そして反対する住民を暴力的に排除している。
沖縄の民意が無視され続けることから、沖縄独立を支持する気運は高まるであろう。琉球民族独立総合研究学会をはじめ、多方面から琉球・沖縄独立の提唱が行われているが、それでも独立はまだ現実味をもっていない。独立について沖縄の人びとが意見を出し合い、その是非を決める段階に到達していない。まだ、「自己決定」が行われていないといえる。
辺野古新基地の是非を問う県民投票
辺野古新基地建設への賛否を問う県民投票が来年2月24日に予定されている。沖縄県議会で県民投票条例が可決され、予算も決定された。この県民投票は、直接民主主義であり住民の自己決定を実現するものである。
この県民投票について、宜野湾市などは投開票事務の経費予算を計上しないとしている。また、市議会議決を根拠として県民投票を実施しないとする自治体もある。これに対して、投票権の侵害であるとする損害賠償訴訟も準備されている。
住民投票あるいは県民投票を実施しないことは直接民主主義の否定であり、間接民主主義で選出された市長等の権限が及ばない事柄である。辺野古新基地建設に賛成するか反対するかという結論よりも前に、住民・県民の「自己決定」の手段が確認されることが重要である。だから、賛成者も反対者もその意思表示をすることが尊重される。
辺野古県民投票は、やがて実施されることになるだろう「独立」住民投票のさきがけと位置づけられる。だから、もし市長が実施しないのであれば、住民の手で投開票事務を行うことも必要だろう。
スペイン・カタルーニャ独立の是非を問う住民投票(2017.10.1)は、それにいたるまで10年近く住民ボランティアよる投票事務が市町村単位で実践されたという(10月12日付け本ブログ参照)。そのカタルーニャ独立運動は、2016年にはバルセロナでアフリカ・中東難民を歓迎する50万人デモを実行した。カタルーニャは経済的にも裕福な土地柄であるが、この話を聞いた友人は「心も豊かなんですね」と感想を述べた。
心の豊かさにおいて、沖縄はカタルーニャに引けを取らない、と筆者は思っている。
参考資料
https://www.asahi.com/articles/DA3S13825274.html?iref=pc_ss_date