カタルーニャ独立派の支持でサンチェス首相再任
11月16日、スペイン下院はサンチェス信任投票を実施した。サンチェス現首相は信任179対不信任171で絶対過半数を獲得して、首相を続投することとなった。https://neoyamashita.kagoyacloud.com/2023/11/11/investiture2/
信任投票にあたって社労党とJuntsとの間で交わされた協定では、恩赦対象にLawfareを含むとされたが、社労党議員提案による恩赦法には明示されていないため、詰めの協議が必要となっている。また、月一回開催が予定されている両党協議は、来週にスイスで行われる予定である。
サンチェス首相再任について、各紙は次のように報じている。英ガーディアン「独立地方党との論争の結果、恩赦法が確認されたことで、サンチェスは首相になった」。仏ルモンド「プッチダモンのおかげで首相となった。恩赦法でプッチダモンはスペインに帰るだろう」
それって、逃走ではなく亡命だろう-朝日新聞へ
朝日新聞は11月18日付け朝刊で、サンチェス首相がカタルーニャ独立派政党との交渉で支持を取り付けて再任を得た、と報じた。それは事実であるが、「プッチダモンが反乱罪などに問われている」「逃走先から帰国する可能性」との報道は誤解を与える。プッチダモンは反乱罪ではなく扇動罪などに問われていたが今年1月の刑法改正で扇動罪は廃止された。またプッチダモンらは亡命しているのであって逃走してはいない。スペイン極右政党Voxなどが「裁判からの逃走」と非難しているのである。
裁判官が街頭デモ!
国会で信任投票が行われている間も、右派政党が呼びかける恩赦法反対のデモが行われた。マドリッドでは最大8万人が参加して、ネオナチ集団と警察との衝突も起きた。集会デモには裁判官も参加して、権力分立を主張している。
General Council of the Judiciary(国家司法協議会)による恩赦法反対決議(https://neoyamashita.kagoyacloud.com/2023/11/11/investiture2/)に続いて、カタルーニャ高裁判事も同様の声明を出した。しかし、カタルーニャ高裁判事2名は、裁判官は政治協議や政党間協定を評価すべきでない、国会で恩赦法が通るとそれに従わなければならない、議会は住民主権を代表して立法権を有する機関であり、違憲立法審査権は憲法裁判所が有するのであって高裁にはその権限はない、との見解を公表して決議に反対した。
参考資料