プッチダモンらに欧州議員資格なし-スペイン中央選管が欧州議会に回答
10月27日、欧州議会はスペイン中央選管に対して、プッチダモン、コミン、ポンサチ、ソルの4名はスペイン選出欧州議員リストに掲載されているかについて回答を求めた。これはスペイン市民党(右派政党)議員が委員長を務める欧州議会法務委員会が、スペイン選出欧州議員59名のうち4名の議員資格を剥奪する意図を持って問い合わせたものである。
11月3日、スペイン中央選管は欧州議会からの問い合わせに対して、プッチダモンたちは2019年5月26日当選後5日以内にスペイン国会に出てきて中央選管の前でスペイン憲法を遵守する誓約をしなかったので、議員リストには掲載されていないと回答した。そして、誓約がなされない間は、議席は空席であり、また議員資格喪失は遡及されるとも回答した。この中央選管の判断は、スペイン憲法裁判所がプッチダモンらの訴えを2020年6月に退けたことによっても支持されているとしている。中央選管は、繰り上げ当選者を発表しなかった。
しかし、2019年12月欧州司法裁判所は、憲法遵守誓約の有無にかかわらず、4名は議員資格があると判断した。選管が選挙結果をもって当選者を発表した段階で議員資格は生まれるのであり、その後の国内手続きは資格とは関係しないという理由であった。
誓約のために国会に出ると逮捕!
プッチダモン亡命首相、コミン、ポンサチ亡命閣僚は、2017年10月に逮捕を免れるためにブリュッセルとスコットランドに亡命した。2019年欧州議員選挙で当選したが、誓約のためにスペイン国会に出席すれば逮捕が待ち受けていた。またスペイン政府は逮捕するためにマドリッドに戻るように仕向けたのであった。他方、ソル(ERC)は、禁固刑を受けて議員資格を喪失した議員に代わって繰り上げ当選となり、中央選管の前で憲法遵守の誓約を行ったにもかかわらず、当選者リストに掲載されていない。
このように、スペイン政府及び中央選管は、選挙結果を受け入れず、当選者の資格剥奪に奔走している。プッチダモンは、このようなやり方を「トランプ主義」だと批判した。
どうする欧州議会
中央選管からの回答を受けて、欧州議会はプッチダモンらの議員資格の有無について議論することになる。法務委員会メンバーは、中央選管の回答により、議員特権(給与、投票権)などがなくなり、空席になった議席は候補者名簿により繰上当選者に割り当てられる、との見解を示した。ところが、スペイン中央選管は繰り上げ当選者を発表していないのである。
信頼されない間接民主制選挙!
プッチダモンが「トランプ主義」と批判するように、スペイン政府・中央選管も選挙結果を受け入れない。これは、トランプに限らず、先週決選投票が行われたブラジル大統領選挙においてもみられるところである。ボウソナロ前大統領は明言しないが、支持者たちは選挙結果を受け入れず、ルーラ新大統領に抗議している。選挙結果を受け入れない軍隊がクーデターを起こしたのがミャンマーである。
お互いの顔が見えない広範囲を選挙区とする場合、間接民主制を行うしかない。そして支持候補が落選することを認めない現象が起きてくる。もはや、住民の意見は選挙に反映することができなくなっている。
参考資料