欧州議会がカタルーニャ選出議員の刑事免責特権を剥奪
3月9日、欧州議会はカタルーニャ選挙区から選出された欧州議員であるプッチダモン、コミン、ポンサチ3人の不逮捕等を保障した刑事免責特権の剥奪について開票した結果、賛成400票(57%、そのうち46票はスペイン議員)反対248票、棄権45票で提案を可決した。提案は、「欧州議会法律委員会」によるもので、カタルーニャからベルギーおよびスコットランドに亡命している3人の欧州議員は扇動罪および公金不正使用の容疑があるからスペインに引き渡すべきだというものである。2月23日の法律委員会では賛成15、反対8、棄権2で可決され欧州議会総会での3月8日投票に回されたもの。
刑事免責特権剥奪を主張したのはスペイン現政権社労党、右派・市民党および国民党、そして極右VOXであり、それぞれが属する欧州議会グループに賛同を呼びかけていた。しかし、スペイン連立政権の一翼を担うポデモスやいくつかの欧州社民党は反対票を投じた。
刑事免責特権剥奪を欧州議会が可決したものの、EU執行部が実行するかは不明である。すでにベルギー裁判所は、スペイン最高裁が3人と同じく欧州逮捕状に基づく身柄引き渡しを請求したプーチ元カタルーニャ文化相の事案について、この請求を退けており、プッチダモンらに対しても同様の判断が行われるであろう。
なお、プッチダモンらは刑事免責特権の剥奪が実行される場合は、欧州司法裁判所に提訴することを明らかにしている。
ヨーロッパを巻き込む論争へ
欧州議会による刑事免責特権剥奪決定は、ヨーロッパに衝撃を与えている。
いちはやくドイツ、ベルギーのメディアは、この事態が民主的選挙で選出された議員の身柄引き渡しがロシアでなくスペインから起こされ、欧州議会が賛同したことにヨーロッパの民主主義が試されていると報じた。また、特権剥奪を提案したスペイン諸政党と同様に、今回の欧州議会投票は欧州各国が独立運動に否定的であることを示したとの論説が行われている。
カタルーニャ独立をめぐる紛争は、ヨーロッパ各国・各政党をまきこんでいるといえる。
参考資料