コロナ危機対応-国家(大洋航路船)vs地域(ボート)
世界中で新型コロナウイルス感染が収まる気配がなく、各国政府の対応は様々である。スペインは社労党・ポデモス連立のいわば「社共」革新政府であるが、コロナ危機を乗り越えるための施策は後手に回っている。これは、国家という大きな政治単位のもつ構造的問題だといえる。
このことは、ロックダウン解除の時期と方法が議論し始められたなかにあって、コロナ危機以降の社会・経済活動についての構想へと発展している。
商業会議所会頭のインタビュー
4月21日、カタルーニャ商業会議所会頭Joan Canadellはコロナ危機への対応に関するインタビューに次のように答えた。
・コロナ危機によって最大のダメージを受けたのは4業種である。飲食業レス
トラン、旅行業、小売業(生活インフラ以外)、文化・芸術。
・従前の経済活動に戻るためには、万全の衛生管理と免疫検査が不可欠であ
る。それは顧客への安全配慮でもある。
・コロナ危機以降においては、社会と経済発展モデルを再考するべきである。
過剰消費を減らし、付加価値を増やし、社会的責任をもち、環境に優しいモ
デル。すでに通信システムで週3日勤務が実現できている。
・小さい政治単位(国家)ならもっと機敏に動ける、大洋航路船とボートの違
いだ。スペイン単一国家だと国家と同じ考え方が求められる。
カタルーニャ政府の対応
スペイン全土のロックダウンは4月14日から段階的に解除された。一部の労働者は職場に戻っている。ただし国家非常事態宣言は5月9日まで延長され、中央政府への権限集中は継続している。その中央政府の対策は思い付きの様相がある。
例えば、子どもの外出許可に関して、14歳以下の子どもは親と同伴すればスーパーや公園へ外出できるとした。これに対してカタルーニャ政府は、スーパー等で感染再発生の恐れがあるとの専門家の意見を踏まえて、16歳以下の子どもの1日2時間の家の周りの散歩しか認めないとした。「今は、政治よりも専門家の意見に耳を傾かるべき」だというわけである。
トーラ首相は、「カタルーニャが独立していれば危機にもっとうまく対処できたであろうと」とル・モンド紙に語っている。
参考資料