スペイン最高裁vs欧州司法裁判所vs欧州議会、そして沖縄
1月6日、欧州議会は欧州司法裁判所の決定を受けて、カタルーニャ選挙区選出のプッチダモン、ジュンケラス、コーミンの3人を議員として認めた。3人は、13日の総会に参加することとなった。
しかし同9日、スペイン最高裁は、ジュンケラスは13年の禁固刑を執行されていることから議員資格がないとした同3日付け中央選管の決定を支持して、不逮捕特権を認めず刑務所から釈放しないと決定した。これをうけて、サッソリ欧州議会議長がジュンケラスの議員資格を1月3日付けで取り消すことを決定。繰上当選議員の名簿を提出することをスペインに求めた。
13日に開会する欧州議会にあっては、ジュンケラスの所属会派は同人を執行部に選出しており、議長の決定に異議を唱えることになる。
サッソリ欧州議会議長は加盟国の判断を尊重するとしてジュンケラスの議員資格の剥奪に賛成したが、その結果、欧州司法裁判所の判断を無視することとなった。EUと加盟国との位置関係があいまいとなり、EUのほころびがみえることとなった。
最高裁、プッチダモン欧州逮捕状維持・トーラ首相議員資格剥奪決定
1月10日、スペイン最高裁はトーラ(カタルーニャ)首相の議員資格を剥奪した中央選管を支持する決定を行った。これをうけてカタルーニャ選管はトーラ首相に代わる繰上当選者の名前を発表した。しかし、カタルーニャ政府及び議会は、中央選管及び最高裁はトーラ首相の議員資格を剥奪する権限はなく、選挙で選ばれた議員・首相は選挙でない限り解任されないとして、トーラ政権の継続を表明した。
サンチェス連立政権樹立するも危うい船出
1月7日、スペイン下院で167票対165票の僅差でサンチェス連立政権が樹立した。社労党とポデモスに加えて地方政党の賛成を得た結果であるが、カタルーニャ独立政党であるERC(およびバスク地方政党)が棄権に回ったことが最大の要因であった。ERCと社労党はカタルーニャ紛争解決のために政府間協議の場が2週間以内にするとの合意文書を発表したが、サンチェスがこれを実行しない場合は、連立政権は議会多数を失うために機能不全に陥る。
プッチダモンらは欧州議員に
1月6日、プッチダモンとコーミンは正式の欧州議員証を受領した。またEUから発行される欧州パスポートによって、議員は出身加盟国パスポートの条件にかかわらず世界中に行くことができる。
他方、スペイン最高裁はプッチダモンたちへの欧州逮捕状を撤回しておらず、スペイン領土内に入った場合は逮捕するとしている。欧州逮捕状はプッチダモンたちが欧州議員に当選する前に発行されたものだからという理由である。すでにベルギー当局は逮捕状の失効を決定していることから、このこともEU及び加盟国との位置関係の問題を浮上させる。
琉球新報がプッチダモンをインタビュー
1月5日付けで琉球新報はプッチダモンへのインタビュー記事を掲載した。カタルーニャと同じく自己決定権がないがしろにされている沖縄の未来展望への提起である。特集記事は4回連載された。カタルーニャと沖縄はいっそう近くなった。今後、政府行政間、住民同士の連携が期待される。
参考資料