サンチェス(スペイン)政府、カタロニア政府との協議におよび腰
6月3日に首相に就任したサンチェス(スペイン)社労党書記長は、17人中11人が女性の内閣を組閣した。しかし、外相には強硬にカタロニア独立反対を唱えるボレルを任命し、3人の閣僚は昨年10月の独立住民投票そのものを否定する発言を行っている。サンチェス首相は、トラ(カタロニア)首相が呼びかけた対話にも応じていない。
スペイン政府の組閣が発表された日、カタロニア独立指導者たちが収監されている刑務所内を撮影した画像がテレビで放映された。刑務所房内へのカメラ持ち込みが許されるはずもなく、また収監者の房内私生活を無断で放映するなど、明らかに威信失墜をねらったものである。収監されている指導者たちは刑務所に調査と責任の所在を明らかにするように要求した。
カタロニア政府が実質的に発足したことから、スペイン政府の直接統治は終了した。予算執行は中央銀行(?)の事前承認を得ることなく執行できるが、事後監察は続く。それでも、直接統治のために解雇されていた内外あわせて数百人の公務員が、徐々に復帰している。
6月3日、トラ首相が就任後最初に行った仕事は、移民・難民がレイシズム反対を訴えて6週間占拠している美術学校を訪問して彼らの要求を聞くことであった。カタロニアは裕福な地域だから税金を吸いあがられるのが嫌でスペインから独立しようとしている、という浅薄な分析があるが(池上彰など)、カタロニアは一貫して開かれた地域であり、その多様性は保守層も誇っている。
海外亡命しているプッチダモン前首相たちは、「推定無罪」原則に反して指導者たちを予防拘束しているPablo Llarena最高裁判事に対して損害賠償等の民事訴訟をベルギー裁判所に起こした。ベルギー裁判所は同判事に9月4日の弁論に出廷するよう求めた。
スペインがカタロニア問題に絡んで三権分立していないとして、ベルギーのみならず、ドイツ、スイス、スコットランドで裁判等が起きている。また、ヨーロッパ人権裁判所、国連機関などもカタロニア政治犯の人権・政治的権利を審議するなど、国家が裁判権を独占できない状況が生まれている。
参考記事
https://www.elnacional.cat/en/politics/bekaert-belgian-judge-s-decision-could-invalidate-entire-spanish-legal-case_276969_102.html?utm_source=Newsletter+ENGLISH&utm_campaign=98caa5ed91-EMAIL_CAMPAIGN_2018_05_23_COPY_01&utm_medium=email&utm_term=0_a9bc005625-98caa5ed91-293793389