スペイン中央政府 カタロニア新政府発足を妨害-社労党、市民党は支持
5月14日カタロニア議会で首相に信任されたトラ首相は、16日に宣誓式を行い、19日に新政府閣僚名簿を発表した。新閣僚には、被投獄者2名、亡命者2名が含まれた。
これに対して、昨年10月27日のカタロニア独立宣言を否定して、憲法155条による直接統治を続けてきたラホイ・スペイン中央政府は、被投獄者・亡命者を含む政府に現実に機能しないとの理由で閣僚名簿をカタロニア州公報で掲載しないことを決定した。州政府が発足するためには、公報で名簿が公表される手続を悪用する措置である。
そもそも直接統治によって州議会を解散して、昨年12月21日に議会選挙を行ったのは中央政府であった。ところが、選挙で勝利した独立派が新政府を発足させようとすると、中央政府は首相候補の逮捕・投獄・ヨーロッパ逮捕状などで妨害して、選挙から5か月たっても新政府が発足しない状況がつくられた。ラホイ首相は、5月24日までに新政府が発足しない場合は再選挙が行われるという規定を利用して、再選挙で多数を占めようと考えている。社会党やシウダダノス(市民党)がラホイ中央政府を支持しているのはこのためである。
5月23日、閣僚名簿を掲載した州公報が発刊されないため、トラ首相は当日に予定されていた新閣僚の任命宣誓式を延期した。そのうえで、法律諮問機関に対して、州公報が発刊されないなかで閣僚任命が可能であるかについて諮問を行った。
今後、息を呑む展開が待ち構えている。
スペイン中央政府が選挙結果を尊重することなく、地域の政治リーダーたちを投獄・亡命に追い込むには民主主義と国家中心主義の2つの問題がある(この点についての筆者の問題提起はこちらまで→catalanprocess)。
参考記事
https://mailchi.mp/assemblea/press-release-report-on-the-spanish-governments-communiqu?e=e7c73110d3
https://www.elnacional.cat/en/news/torra-suspends-swearing-in-cabinet-rajoy_271128_102.html?utm_source=Newsletter+ENGLISH&utm_campaign=be4bf72461-EMAIL_CAMPAIGN_2018_05_23&utm_medium=email&utm_term=0_a9bc005625-be4bf72461-293793389